アクアマリンふくしまへ行ってきました
GWにアクアマリンふくしま→会津若松へ旅行しました。アクアマリンは水族館好きのあいだでは有名なスポットであり、また、シーラカンス研究を行なっていることで深海魚好きとしても興味深いところであります。
上野から常磐線特急スーパーひたちに載って3時間2時間半でアクアマリンふくしまのあるいわきに到着。降りると一言、「さむい!!」旅行中、何度も叫ぶこのキーワード…。駅のそばでレンタカーを借り、30分ほどでアクアマリンふくしまなのですが、まず腹ごしらえ。ら・ら・ミュウという施設内で海鮮丼を食べました。
1Fの魚屋さん直営店というだけあって、新鮮でおいしかったです。いわき市ではまだ漁が自粛されているとのことで、再開できる日が早く来てほしいですね。
窓からはアクアマリンと海上保安庁の船が見えました。
きれいなエントランス。入ると、アクアマリンふくしまからのメッセージが。
震災から120日あまり、私たちは、小名浜、いわき、福島、そして日本中、世界中から声援をいただきました。心から御礼を申し上げます。アクアマリンふくしまは、Inspiring Aquariumとして、人々を鼓舞し、勇気づける水族館として、日本中に、世界中にメッセージを発信し続けたいと思います。
なんとも、素敵なdeclarationではないでしょうか。
展示室の一つ目は、「海・生命の進化」。これは珍しい。たいていの水族館が、近海の生物から始まっている気がするのですが、いきなり化石。
「クラゲ類 スパルタンゴプシス」らしいですが、クラゲってどうやって化石になるのだろう?
ハイギョは、シーラカンスとともに、両生類に最も近い種類と考えられてきましたが、どちらが本当の祖先に近いのか、論争は今も続いています。
とありました。実は、Natureの2013年4月18日号に、この論争に関係する論文が掲載されたばかりなのです。
- アフリカシーラカンスのゲノムは四肢類の進化を解明するための手がかりとなる, Chris T. Amemiyaら, Nature 496, 311–316 (18 April 2013)
抄録は日本語ですので読んでみて下さい。以下に一部引用します。
ゲノム規模のデータを用いた分子系統解析の結果、四肢類に最も近い現生近縁種がシーラカンスではなくハイギョであるという結論が得られた。
この論文は、日本のメディアでは「シーラカンスの遺伝子がほとんど進化していなかった」という部分だけが報じられたのですが、上記のハイギョとシーラカンスのどちらが四肢類の直接の祖先かという解析の他に、シーラカンスのゲノム中にはアクティブなトランスポゾンがたくさんあって、コード領域の進化が遅いのと対照的であるとか、シーラカンスはIgMを持たないとか、シーラカンスの遺伝子と四肢類の遺伝子との比較をしたとか、次世代シーケンサーを使った解析をまとめたもので、なかなか面白かったです。
進化ゾーンを抜けると「ふくしまの川と沿岸」。福島県の色々な水辺の生き物の住む環境を再現。ゲンゴロウとか。木も植わってます。その先に、メイン水槽の「親潮黒潮水槽」が裏から見えるのですが…
イワシ!
イワシ!!
イワシの口が怖い!!!
大量のイワシに襲われる悪夢の後、「北の海の海獣・水鳥」。4月に生まれたばかりの、まだ名前のないゴマフアザラシの赤ちゃんがいた!…のですが…
たぶんこれがゴマフアザラシのあかちゃんです!たぶん!
この後、「オセアニック・ガレリア」「熱帯アジアの水辺」「サンゴ礁の海」「オホーツク海」と続きまして…
「潮目の海」です。一番おおきい水槽で、向かって右側が親潮黒潮、左側が黒潮親潮なのです。福島県沿岸がちょうど潮目に当たるのですね。
さっき裏側から見た水槽のイワシたち。向こう側に人の姿もぼんやり見えますね。イワシは、餌を投入すると一斉に上に上がって猛スピードで周るのがすごかった!
一方、黒潮の海は平穏。
この後は、「ふくしまの海」。近海の魚ですね。
綺麗なアオリイカ。
最近、復旧工事を終え復活した「蛇の目ビーチ」。祝日には潮干狩りなどのイベントで子供がいっぱい遊んでいたというのですが…平日で、夕方で、死ぬほど寒かったこともあり、人っ子一人いませんでした…。
たぶん、子供に触ってもらうためのヒトデだと思いますが…積み重なってます。
展示のラストを飾るのは「シーラカンスの世界」。アクアマリンふくしまは、開館時からシーラカンスの国際シンポジウムをやったり、インドネシアでの潜水調査を行ったりしているのです。ここでは、その貴重な資料と、潜水調査で撮影された、生きて動いてるシーラカンスの映像が見られるのです。映像コーナーは休憩室も兼ねていて、シーラカンスを見ながらゆっくりコーヒーが楽しめます。シーラカンスの映像は、マリンシアターの大画面でも見ることができます。調査活動をまとめた20分程度のドキュメンタリーが放映されていました。
海の中のシーラカンスの映像。100〜300mの水深、岩陰なんかにいるそうです。3匹一緒にいたのも見つかってます。あと、同一個体が数年後の調査で見つかったりもしたそうです。行動範囲はあまり広くないようです。光を反射して、緑色に光る眼も特徴の一つだとか。
シーラカンスのホルマリン標本もありました。
アクアマリンふくしまでは、ボランティアスタッフによるバックヤードツアーを随時受付しています。もちろん、うさじまも参加してきました。写真は撮れなかったので、最後の標本室だけ。
バックヤードツアーでは、展示水槽を裏側から(というか上から)見せてもらったり、ラボや餌準備室を外から覗き見たり、魚の搬入方法を教えてもらったり(コンテナをクレーンで持ち上げ、魚に触らず搬入できるそうです)、トド・セイウチ用のろ過タンクを見たり、津波の被害についてお話を伺ったりしました。バックヤードですれ違ったスタッフの皆さん、忙しそうでした。
東日本大震災の津波で、展示生物の9割を損失するなど、甚大な被害を受けたアクアマリンふくしま。いきものの中には、千葉などに一時移されていたものもいるようです。先ほどの大水槽も、こんな状態だったのですね。スタッフの皆さんの努力により、蘇った姿、本当に素晴らしいです。そして、いきものへの愛情と敬意を感じる展示もまた、素晴らしいと思いました。
アクアマリン名物、ごんべアイス。ちゃんと眼が光ってる。うみのしおあじとチョコレート味がありました。
水族館を見た後、ちょっと足をのばして「いわき湯元湯本温泉」へ。「さはこの湯」という公衆浴場があり、220円で温泉に入れます。