2016.1.30 深海ラボxJAMSTEC@葛西臨海水族園

1/30のトークショー「小笠原の深海と高熱温泉でみつかった風変わりな生き物」滋野修一氏(国立研究開発法人 海洋研究開発機構に参加してきました。葛西臨海水族園の深海ラボは2度めです。前回はなんと3年前…!はやっ。

滋野修一先生は、進化形態学・神経生物学・分子発生学がご専門で「新規の感覚・情報処理システムの探索およびデザインの進化」「熱水および超深海域の極限環境における環境応答様式の分子機構の解明」「深海域における生理活性物質、新規受容体、ポンプ分子などの探索」を研究されているそうです。

当日は、レクチャールームのフロアにマットが敷かれていて、靴を脱いで床に座って聞くスタイルでした。これだとリラックスしたムードになりますし、子供連れの方にもいいですよね。お話の内容は、滋野先生の行かれた、小笠原海域の深海探検と、海底の熱水に生きるヘンな動物についてでした。どちらも、貴重な写真や動画をたくさん見せていただけで、すごく興味深かったです!



小笠原海域の深海探検について

はじめにGoogle Earthで横須賀のJAMSTECから小笠原海域までの海底の地図を見せていただきました。小笠原が、海底火山の連なるところにあるのがよくわかります。横須賀から南へ、船で二日間かかるそうです。この航行に使われる海洋調査船ですが、1981年に「しんかい2000」の支援母船として建造、運用されてきた「なつしま」が、最近引退したそうです。

それから、無人潜水ロボット「ハイパードルフィン」と、ハイパードルフィンで潜水した時に撮影した動画等が紹介されました。コウモリダコの貴重な映像が見られて嬉しかったです。また、海底にカイメンやナマコ、クモヒトデなどの生物がぽつぽつと落ちているのは、神秘的な光景でした。


海底の熱水に生きるヘンな動物

海底の熱水環境について

  • 熱くて火傷する、でも冷たい……熱水は120℃、でも周囲の水温は2℃。
  • 地球から湧き出る水なので、酸素が少ない→息ができない
  • 毒が含まれる。硫化水素、水銀、ヒ素など。

こういった環境にはヘンな生き物がいろいろといる。


この日、特に詳しく紹介されたのが、「マリアナイトエラゴカイ」でした。

こちらで写真をみることができます。この生物は、ゴカイの仲間ですが、熱水の湧き出すすぐそばに巣を作って住んでいるそうです。身体全体が黄色く、その体内にはヒ素が蓄積しています。


マリアナイトエラゴカイを使った興味深い研究も教えていただきました。マリアナイトエラゴカイに、いろいろな化学物質を与えて反応を見るという実験です。

マリアナイトエラゴカイが

そして、先生が最も注目されていたのは、マリアナイトエラゴカイがリナロール(スズランの香りの化合物で、ビタミンDの合成中間体)を好むということでした。なぜ深海の生物が花の香りを好むのか?その仮説が、「熱水に住む生物が、ビタミン類を必要とするのではないか」というもの。そこから、深海中から、あらたな有用物質が見つかるのではないか、と期待されているそうでした。


この研究はめちゃめちゃ最新(JAMSTEC内部の人も知らない)とのことで、発表資料などはなさそうですが、去年のJAMSTECのシンポジウムで、関連のポスター発表があったようです。

マリアナイトエラゴカイにつては初めて知りました。またこういった生物が、湧水に含まれる鉱物などから、有用な化合物を合成しているかもしれないというのはとても興味深いお話でした。


世界初!? メンダコの卵と幼生の標本を展示

トークショーの後、いったんレクチャールームを閉めて、水族園のスタッフによる展示コーナーにチェンジ。目玉はメンダコの卵と幼生の標本です。


わかりますか?かなりちっちゃいです。かわいいです。

この展示コーナーには、メンダコに詳しそうなスタッフの方がいて、すこしお話を伺うことができました。また、その場に水族園発行のフリーペ―パー「SEA LIFE NEWS No.64 (2015 Nov)」が置かれていて、そこにもメンダコ飼育のレポートが掲載されていました。実は、前日にメンダコ飼育のトークショーもあったのですが、都合がつかず聞くことができず、残念だったのでよかったです。現在、葛西では約一ヶ月間の飼育実績があること、餌にはエビのミンチを与えていることなどを教えて頂きました。




氷漬けの深海ザメ。ラブカ、ミツクリザメ


スタッフの方が、ミツクリザメの口を開けてくれました!



メンダコの解凍標本。触ってもいいですよ、ただし生臭いですよと言われました。ちゃんとウエットティッシュも用意されていました。



タカアシガニ標本。かっこいい!!

一般展示から


見た目がアレな生物として有名な「カワテブクロ」。実物初めて見ました。写真で見るよりちゃんとカワテブクロ感ありました。まあ、でもやっぱりアレっぽい。



コウイカの赤ちゃんとかの標本。イカはやっぱりいいです!



葛西といえば、マグロ水槽のマグロが死んでしまった悲しいニュースが去年ありました。スタッフのみなさんの努力の甲斐あって、マグロ復活してます!

この記事に載せた写真に比べると全体に小ぶりに思えたマグロたち。このまま、元気で育っていって欲しいです。


おまけ


売店のちんあなご抱きまくら…ほしい




帰りは舞浜のエクスピアリでハワイアンパンケーキを食べました!