水酸化カルシウム溶液に溶け出すトマト成分
こちらの実験で、「トマトを水酸化カルシウム水溶液につけると、農薬の使用の有無に関わらず黄色い色が出て、水酸化カルシウムに吸着する」ことがわかりました。これについて、農家の方から「トマトの樹液ではないか。ヘタだけでも色が出るのではないか」というご指摘を頂いたので試してみました。実験条件については、前回とほぼ同じなのですが、水酸化カルシウム溶液については、どうせ溶け切らないので、「ボウル一杯に水酸化カルシウム粉末スプーン一杯を入れよく混ぜる」という方法で調整しました。ただし、一回の比較実験に使う溶液はすべて同一ロットとしました。トマトはすべてうさじま宅の自家栽培「アイコ」です。
水酸化カルシウム溶液に10分間浸漬後。左上:実+ヘタ、左下:ヘタのみ、右下:実のみ、右上:水酸化カルシウム溶液のみ。下段のヘタと実は元は一つです。実+ヘタと実のみでずいぶん着色に差がありますが、個体差の影響もあるかもしれません。下段の比較から、着色の元はほぼ実ということは言えそうです。
色の濃さは実+ヘタ>実のみ>ヘタのみ>トマトなし となりました。
次に、樹液ならば茎や葉ではどうかを検討することにしました。また、トマトの皮をはがしたものも試してみました。トマトの皮は果物ナイフでむいて、内側についた実の部分はなるべく取り除き、水道水でよくすすぎました。実・茎・葉ともにうさじま宅のベランダアイコです。
10分間浸漬後。左上:皮、左下:葉、右下:茎、右上:水酸化カルシウム溶液のみ。
着色の強さは皮>茎>葉 となりました。
このうち、皮と茎を漬けたあとの溶液をしばらく放置したところ、前回の実験で実を漬けた時に見られた水酸化カルシウムに色素が吸着したように見えるものが沈殿していました。それぞれをコーヒーフィルターでろ過してみましたが、ろ過残渣も前回とほぼ同じもののようでした。
今回の結果からわかったこと
- 水酸化カルシウムにつけることでトマトから溶け出す成分は、ほぼ実由来。
- 同じ物質が茎にも含まれている。葉にはほとんど含まれない。
つまり、実に多く、茎にも含まれる物質ということになりそうですが…(何でしょう?)。
トマトの茎や葉を触るとベタベタするとか、手が黄色くなることの原因物質も調べてみたのですが、よくわかりませんでした。