「ニセ科学を見抜くための大まかな指針(A Rough Guide to Spotting Bad Science)」の日本語版を作ります。ご協力お願いします!
2014. 5. 7追記
- 改訂版を出しました。こちらへのコメントは締切ります。またこちらの訳文を引用する等はお控え願います(改訂版のほうでよろしくお願いします)。
- A Rough Guide to Spotting Bad Science, Compound Interest
Compound Interestは英国の大学院生(化学)と教員によるサイトで、日常的に見かける化学物質や化学反応の解説や、授業などで使える画像を提供されているところです。上記の、「ニセ科学を見抜くための大まかな指針(A Rough Guide to Spotting Bad Science)」という記事では、ニセ科学を見抜くための12のポイントをポスターにしたものがPDFなどで配布しています。
このポスターについて、先日国内の某サイトで紹介されていたのですが、自分自身でも訳をつけてみようと思いました。そこで、コメント欄から「翻訳してもいいですか?」と聞いてみたところ、快諾していただくとともに、よかったら日本語版のポスター(pdf)を作って配布できるようにしましょうか?と言って頂きました!ちなみに、他の言語(ポルトガル語等)も、ボランティアの方が訳されたバージョンが配布されています。ぜひ、日本語バージョンも配布できるようにしたいです。
と言っても、私の素人訳ではせっかくポスターにするのにちょっと心もとない部分があります。訳の正確さや、日本語としての伝わりやすさについて、ご助言いただけると助かります。よろしくお願いします!!
コメントは、コメント欄またはtwitter@usausa1975までよろしくお願いします(一時的にコメント受付を復活させています)。
以下、英文はCompund Interestの画像からの引用、日本語訳はうさじまによる試訳です。
1. センセーショナルなタイトル
記事のタイトルは、一般的に、読者にクリックしたい、読みたいと思わせることを意図して作られています。研究結果が過度に単純化されているのは最もましな方で、最悪の場合、センセーショナルで不正確な表現がなされています。
1. SENSATIONALISED HEADLINES
Headlines of articles are commonly designed to entice viewers into clicking on and reading the article. At best, they over-simplify the findings of research. At worst, they sensationalise and misrepresent them.
2.結果の曲解
ニュース記事では、意図的にかどうかは別として、よくできた話にするために、研究結果が捻じ曲げられていたり、曲解されていることがあります。記事を鵜呑みにせず、可能ならば、研究内容の原典を読んでみましょう。
2. MISINTERPRETED RESULTS
News articles sometimes distort or misinterpret the findings of research for the sake of a good story, intentionally or otherwise. If possible, try to read the original research, rather than relying on the article based on it for information.
3. 利益相反
多くの企業が、研究や論文執筆をさせるために科学者を雇っています。とは言え、そのような研究が必ずしも無効なものであるというわけではなく、それを念頭に置いて分析しなければならないということです。また、研究は、個人的または金銭的な利益のために、曲解されて伝えられることがあります。
3. CONFLICT OF INTERESTS
Many companies employ scientists to carry out and publish research - whilst this does not necessarily invalidate research, it should be analysed with this in mind. Research can also be misrepresented for personal or financial gain.
4.相関関係と因果関係
相関関係と因果関係の混同に注意しましょう。二つの変数が相関関係あるということが、自動的に片方がもう片方の原因であることを示すわけではありません。地球温暖化は1800年代から進行しており、海賊の数は減少していますが、海賊の不足により地球温暖化が起こっているわけではありません。4. CORRELATION & CAUSATION
Be wary of confusion of correlation & causation. Correlation between two variables doesn’t automatically mean one causes the other. Global warming has increased since the 1800s, and pirate numbers decreased, but lack of pirates doesn’t cause global warming.
5.推測表現
研究からの推測は、まさに、単なる推測でしかありません。「かもしれない」「〜の可能性がある」("may","could", "might")等の言葉に警戒しましょう。このような表現が用いられている場合、研究によって、その結論の確かな証拠が得られているとは考えられません。
5. SPECULATIVE LANGUAGE
Speculations from research are just that - speculation. Be on the look out for words such as ‘may’, ‘could’, ‘might’, and others, as it is unlikely the research provides hard evidence for any conclusions they precede.
6.小さすぎる標本サイズ
試験では、標本サイズが小さくなるほど、得られる結果の信頼性が低くなります。標本サイズが小さくなるのを避けられない場合もありますが、その結論は、このことを念頭に置いて判断されるべきです。標本サイズを大きくすることが可能であるのにそれを避けている場合には、疑念を抱く理由になるかもしれません。6. SAMPLE SIZE TOO SMALL
In trials, the smaller a sample size, the lower the confidence in the results from that sample. Conclusions drawn should be considered with this in mind, though in some cases small samples are unavoidable. It may be cause for suspicion if a large sample was possible but avoided.
7.代表的でない標本
研究者は、ヒトを対象とした試験で個人を抽出する際に、母集団を代表することができるように努力しています。もし標本が母集団全体と異なるものであれば、試験の結論も異なってしまうでしょう。
7. UNREPRESENTATIVE SAMPLES
In human trials, researchers will try to select individuals that are representative of a larger population. If the sample is different from the population as a whole, then the conclusions may well also be different.
8.対照群がない
臨床試験においては、被験者の結果を、試験の対象となる薬剤を投与しない「対照群」の結果と比較しなければなりません。また、実験群と対照群は、ランダムに割り付けなければなりません。一般的な実験では、どの変数も変化させないものを対照実験とします。
8. NO CONTROL GROUP USED
In clinical trials, results from test subjects should be compared to a ‘control group’ not given the substance being tested. Groups should also be allocated randomly. In general experiments, a control test should be used where all variables are controlled.
9.盲検試験が行われていない
バイアスを排除するために、自分が実験群なのか対照群なのかを被験者に知らせてはいけません。二重盲検試験では、研究者でさえも、試験終了までは、どの被験者がどちらの群かを知りません。(注意)盲検試験が必ずしも実現可能、あるいは倫理的でないことがあります。
9. NO BLIND TESTING USED
To prevent any bias, subjects should not know if they are in the test or the control group. In double-blind testing, even researchers don’t know which group subjects are in until after testing. Note, blind testing isn’t always feasible, or ethical.
10.結果のつまみ食い
実験データの中から、結論を支持するようなものを採用し、そうでないものを無視するやりかたです。すべての結果ではなく、選択した結果から結論を導いている研究論文は、つまみ食いをしているかもしれません。
10. ‘CHERRY-PICKED’ RESULTS
This involves selecting data from experiments which supports the conclusion of the research, whilst ignoring those that do not. If a research paper draws conclusions from a selection of its results, not all, it may be cherry-picking.
11.結果に再現性がない
結果は独立した研究によって再現されなければならず、一般性を保証するために、(可能な範囲で)様々な条件で確認されなければなりません。途方もない主張には、それ相応の証拠が求められます-一つの研究だけでは、不十分です!
11.UNREPLICABLE RESULTS
Results should be replicable by independent research, and tested over a wide range of conditions (where possible) to ensure they are generalisable. Extraordinary claims require extraordinary evidence - that is, much more than one independent study!
12.ジャーナルと引用数
主要なジャーナル(専門誌)に発表された研究は、査読の過程を経たものですが、それでもまだ不備がある可能性はありますから、それを念頭に置いて評価しなければなりません。同様に、その研究の引用数が多いからといって、必ずしも高く評価されているとは言えないこともあります。
12. JOURNALS & CITATIONS
Research published to major journals will have undergone a review process, but can still be flawed, so should still be evaluated with these points in mind. Similarly, large numbers of citations do not always indicate that research is highly regarded.