深海展@国立科学博物館

国立科学博物館の特別展、「深海」を見に行ってきました。


金曜日の夜は8時までやってるし、空いてておすすめとtwitter等で教えていただいていたので、金曜日の夜に行ったところ、並ばずに入場できました。しかも、一人1500円のところ二人で2000円という特別価格(17:00以降)。入場はスムーズだったのですが、さすがに人気の企画だけあって、会場内はかなり賑わっていました。女性客も多く、それがまたみなさん深海生物への造詣が深そうな会話をされていました。


さて、見どころは主に

  1. しんかい6500の実物大模型
  2. いろんな潜水艇の縮尺模型
  3. 深海生物の標本多数!ほんとに多数!!
  4. 本物のダイオウイカ標本!
  5. 大画面のダイオウイカ映像

ってところでしょうか。個人的にはこれらにプラスして、以下の点も素晴らしいと思いました。

  • 貴重な深海生物動画が見られる
  • 熱水噴出域コーナー
  • 鯨骨生物群集コーナー
  • ショップが充実!!

今回は珍しく音声ガイドを借りてみました。坂本真綾さんが、ナレーターとダイオウイカの二役をこなします。窪寺先生のお話やクイズもあり。

しんかい6500の実物大模型など

しんかい6500の全体像は公式サイトをご覧いただくとして、先日の葛西臨海水族館でのメンダコ採集の話に出てきた「スラープガン」の写真を撮ることができました。

船体前方についている、この掃除機のホースのようなものがスラープガン。深海生物を吸い込んで採集します。傷つけずに採れるのがいいですね。



しんかい6500、裏側はプロジェクションマッピングで内部構造を表示。おしゃれ。



深海探検といえば、気になるのはトイレですよね!うさじまはトイレが近いので、今のところ深海へ行く予定はありません…。実は窪寺先生の講演会でもトイレの話題は出てました。簡易トイレと言っても人前でするのは抵抗があるので、水分摂取を控えるなどされてたそう。女性の研究者の方も潜ったみたいですけど、どうしたんだろう…。


ちなみにしんかい6500はオペレーター二人、研究者一人の3人乗り。水深6500mまでは片道2.5時間。有人潜水艇は日本人が世界に先駆けて作ったそうで、1929年の「西村式豆潜水艇1号」、最高深度200mが第一号だとか。それから100年もたってませんが、今では、無人潜水艇で生物を採集したり、深海生物のようすを綺麗な映像に残したりできるようになりました。すごいですね。
 

深海生物図鑑

ホルマリン標本がほとんどなんですけど、ものすごいボリューム。有名生物もさり気なく展示されています。生前の動画と一緒に展示されてるやつもいます。これはとてもいいですね!それと、各所にモニタがあって、ジュウモンジタコやコウモリダコ、ユメナマコなどの生物が生きて動いている美しい動画を上映していました。それぞれが1分程度と見やすいのもよかったです。

タカアシガニさんがお出迎えー!



ずらり。





タコやナマコなどの水分が多いものはちょっと、原型をとどめてませんが…



小さい生物のプレパラート標本。中に細かい構造が見えてわくわくします。




セルロースを分解する「セルラーゼ」、でんぷんを分解する「アミラーゼ」、植物のセルロース以外の多糖類であるグルコマンナンを分解する「マンナナーゼ」、そしてキシランを分解する「キシラナーゼ」を持つことで脚光を浴びたカイコウオオソコエビは樹脂に封入されています。上の写真は、カイコウオオソコエビ酵素が木くずを分解してグルコースを作るのを示した実験。グルコースがあると赤くなる試薬が加えてあり、カイコウオオソコエビ酵素を入れた方だけ赤くなっています。こいつらは、食べ物が一見なさそうな深海に住んでて何食べてるんだ?と疑問に思われていたところ、植物の成分であるセルロースなどの多糖類を分解する酵素を持つことから、はるか上から降ってくる木くずなどを食べていることが推測され、さらにこの酵素バイオエタノールの合成に使えるんじゃないの!?と一躍脚光を浴びたやつらです。樹脂に封入されて綺麗に飾られるだけのことはあります。
 

熱水噴出域/メタン湧水域と鯨骨生物群集

太陽エネルギーなんてイラネ、俺達は独自の生態系を築くぜ!という生き物が熱水噴出孔やメタン湧水域に生きています。これらは化学合成生態系と呼ぼれます。本展の図録によれば、「深海生物研究の中で、化学合成生態系を見つけたことが最大の発見(p.106)」なのです。当然、こういった生物には、私たちが見慣れたものとは大きく異なる、珍しいものがたくさん見られます。

チムニー(熱水噴出孔)のジオラマです。



なんと、生きたユノハナガニが展示されてました!



硫化鉄の殻を持ち、磁石にくっつくスケーリーフット。白と黒が展示されてました。


化学合成生態系の発見についてはナショジオの以下のページが面白いです!


一方、クジラの死骸に集う鯨骨生物群集も興味深いです。NHKの深海ザメ特集でも触れられていました。

葛西臨海水族館から寄贈された模型もありました。


鯨骨生物群集については、深海生物フォトグラファーとしても有名な(本展の会場にも多数の写真が展示されていました)藤原義弘先生が研究されています。またまた、ナショジオの記事がおすすめ。

ダイオウイカ


これは、ぜひご自分の目でごらんください!ていうかでかさを伝える写真がとれませんでした!ゲソもでかいよ!隣にマッコウクジラの模型もあるのですが、会場に入りきってないです。これは、「サイズの差がありすぎて勝負と言っても…」と窪寺先生がおっしゃってた意味がよくわかりました。あとシアターでは、NHKスペシャルの映像+αの映像を放映してました。メンダコも写ってました!

  

おみやげ

グッズ売り場も大盛況でした。実物大のダイオウイカぬいぐるみも売られてました!

メンダコさんとジュウモンジダコのマグネット。



箱もカワイイ深海生物グラス。


あとは図録を書いました。これ、フルカラーで貴重な写真や資料が満載、1800円はお得すぎます。



紹介しきれませんでしたが、深海生物の生活や適応戦略についても解説があり、「生きた生物がほとんどいない」にもかかわらず、ものすごく充実して展示でした。「深海を調べる」ことと、「深海生物を知る」こと、両方について学ぶことができます。水族館とは一味違う、博物館の展示だなあという感じ。日本の深海研究の集大成が見られる「深海」展、10月6日まで開催中ですので、ぜひ足を運んでみて下さい。ショップにはすてきなものがいっぱい売られえいるのでお小づかいもお忘れなく!!



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