「100均のシリコーンゴム製品から発がん性物質」豊島区からの返事

「100均のシリコーンゴム製品から発がん性物質」という報道について調べてみた うさうさメモ
の続報です。

豊島区に、以下のような質問メールを送ったところ返事をいただきました。

http://www.city.toshima.lg.jp/shigoto/shouhiseikatsu/022076.h
tm
に掲載のシリコーンゴム製品のテストについての質問です。
豊島区民ではないのですが、朝日新聞の報道(8/10)で該当の試験を
知り、ダイソー店頭で「報道は豊島区の意図と異なる」旨の張り紙を
見て、本件について調べております。

朝日新聞の報道では、「昨年5月と9月、区内の100円ショップな
どで、電子レンジ用蒸し器やオーブン用ケーキ型、乳児用おしゃぶり
などシリコーンゴム製品24点を購入して調べたところ、調理用品2
0点と乳児用おしゃぶり2点の計22点で、ホルムアルデヒドの溶出
を示す試薬の反応があったという。22点のうち21点は中国製。日
本製おしゃぶり1点からも検出された。いずれも100〜300円と
いう。シリコーンゴム製の調理用品は、レンジやオーブンで使えるの
が特徴で、ここ数年、人気となっている。」と記載されており、その
後ネット上では「100均のシリコーンゴム製品は危険」という論調で
情報が拡散されていました。しかし、この試験結果からは100均「だ
から」危険、ではなく、シリコーンゴム製品全般の問題なのではない
かと思いました。

そこで疑問に思いましたのは、今回の試験に用いたシリコーンゴム製
品は、すべて100均ショップで購入したものなのか?ということで
す。今回の試験でホルムアルデヒドの溶出が陰性となった商品は2点で
すが、これは100均製品ではなかったのでしょうか?また、陽性の商
品はすべて100均ショップなのでしょうか。

また、食品衛生法上の試験方法として、器具では60℃30分間の溶出、
ただし使用温度が100℃を超える場合は95℃30分の溶出となっており
ます。今回試験した製品でホルムアルデヒド陽性であったものについ
て、製品に使用温度の記載があったか否かもお教えいただけると幸い
です。

なお、今回ご解答いただけましたら、ネット上等で内容を公開し共有
させていただく可能性があります。

よろしくお願いいたします。
(うさじまから、質問フォームに記入した内容)

 日ごろ、豊島区の消費者行に対し、ご理解・ご協力を賜り厚くお礼申しあげます。豊島区消費生活センターの◯◯と申します。
さて、お問い合わせの件ですが、現時点ではっきりお答えできますのは、今回の試験に用いた材料は100円均一ショップ以外で買ったものも含まれている、ということのみです。平成24年3月で商品テスト室は廃止となり、当時実験に使った検体、記録などはすべて廃棄されております。誠に申しわけございませんが、今回のご質問にこれ以上お答えできません。
しかし、厚生労働省より今回の実験について食品衛生法上に基づく再試験を行うよう指示されております。期日は未定ですが、結果が出次第、豊島区のホームページで発表する予定ですので、詳細はそれまでお待ちいただけないでしょうか。

豊島区消費生活センター
 豊島区東池袋1-20-15生活産業プラザ2F
 電話03(5992-7015) ◯◯

衝撃です。
平成24年3月で商品テスト室は廃止となり、当時実験に使った検体、記録などはすべて廃棄されております。」です。結局、何を測定したのかよくわからないテスト結果を発表し、それを報道した新聞もよくわからないまま報道したわけです。


さて、気になるのは厚生労働省からの指導です。うさうさは、今回の問題の一つのポイントとして、「60℃30分でホルムアルデヒド不溶出」という食品衛生法上の基準はクリアしているが、実際の使用温度が90℃以上であり、使用時にホルムアルデヒドが溶出する可能性のある商品が流通しているのではないか、ということがあると思っています。もし、豊島区の次回の試験で、すべてのシリコーンゴム製品を60℃の溶出条件で測定し、「問題ありませんでしたー☆」としたのでは、(廃止された)商品テスト室の問題提議はまったく生かされずに終わってしまうのではないでしょうか?


食品衛生法上の試験に合格している」と言ってもその試験温度が60℃と95℃に別れており、それは製品の使用温度が100℃を超えるかどうかで決められています(前回のエントリ参照)。試験温度(想定使用温度)について、誰が設定するのか、使用実態と一致しているかが確認されているのか、疑問に思います。豊島区には、そのへんをついた試験をして欲しいのですが…。


前回のエントリでは個別の商品については調査しなかったのですが、高級シリコーンゴム製品の一つ「ルクエ」のウェブサイトを見ますと、製品の安全性についてはいろいろ書いてあります。食品衛生法に基くホルムアルデヒド溶出試験の結果を見ますと、試験温度は95℃になっていました(さすが?)。他のオーブンやレンジで使用するシリコーン製品についても、気になる人は確認するか、前回も言ったように、一度熱湯につけて冷ましてから使う方がいいかも知れません。


そして、豊島区が次に行う試験についても注意深く見守る必要がありそうです。


20120905 20:44 追記
ホルムアルデヒドの経口毒性について調べたことを前回のエントリに書いてます。
このエントリを読んで「えー、シリコーンゴム製品ってこわいの?」って思った方はご一読下さい。
それと、これも前回のエントリに詳しく書いてますが、今回の試験の結果から、1度90℃のお湯につけて冷ますことで、シリコーンゴムからのホルムアルデヒドの溶出がほとんどなくなるようです。


20121109追記
このエントリーの続きです。
「100均のシリコーンゴム製品から発がん性物質」で、どうなった?